最高裁判所第一小法廷 昭和26(オ)625 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人弁護士猪狩満の上告理由第一点、第二点について。
所論は、疏明の有無に関する原審の判断を非難するか、又は、原審の単なる法令
違背を主張するに帰し、最高裁判所における民事上告特例法一号乃至三号のいずれ
にも該当しない。そして、仮処分申請の当否を決するについても債権者に被保全権
利たる実体上の権利あるか否かゞ先決問題であり、その点に関し疏明の有無を判断
することは当然である。また、請求及び仮処分の理由が疏明されない場合、保証を
立てしめて仮処分を命ずると否とは裁判所の裁量に属するところであるから、結局
かかる措置に出でなかつたとしてもこれにより原判決を違法視することはできない。
それ故所論法令違背の主張も採用できない。
同第三点、第四点について。
所論は、単なる法令違背の主張に帰し、前記特例法各号のいずれにも該当しない。
そして、仮処分の申請は、仮処分を必要とする理由とその被保全権利との両者が疏
明されたときは、これを許容しなければならないものであるが、そのいずれか一方
の疏明を欠くもこれを排斥することができるのである。(なお保証を以て疏明に代
え仮処分を許容するか否かは裁判所の自由裁量に属する。)されば、原審が被保全
権利の前提をなす被上告人が無限責任社員でないことは疏明されず却つてかゝる社
員であることが疏明されたものとの判断をしただけで仮処分の必要性の有無につき
觸れなかつたとしても所論の違法があるともいえない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
- 1 -
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 真 野 毅
裁判官 岩 松 三 郎
裁判官 入 江 俊 郎
- 2 -